誇り

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少しして悠は中庭で待たせていた麻子へと行く。 「ごめんね?待たせちゃって。」 「ううん。私こそ突然 訪ねちゃったから。 大丈夫だった?」 麻子がそう言うと悠は笑う。 「調度 昼休憩だったから問題ないよ。 けどどうしたの?麻子ちゃん。」 「うん。ちょっと悠くんの様子が 気になったというか…久々に 話がしたくなってね。」 麻子がそう言うと悠は何かを察した様に笑う。 「もしかして何か心配してくれてる?」 「え…っと……」 麻子は笑う。 すると悠も笑う。 「やっぱり。俺なら大丈夫だよ?」 「けど私…前に悠くんにリーコの事 よろしくとか変な事言っちゃったし リーコも随分と悠くんに甘えてただろうし その、なんと言いますか…色々と親友からも 謝りたくて…?みたいな……」 麻子がそう言って口ごもると悠は笑う。 「なにそれ。そんなの気にしてたの? リコも麻子ちゃんも。 俺が好きでやってた事だよ。 それに、もしも結月にリコが 捨てられちゃったら…その時は リコをよろしくって麻子ちゃんに お願いもされたてけどさ… 本当は俺そんな気なかったよ?」 「へ?」 「だって二人が別れるなんて 絶対ない事だって解ってたから。」 「悠くん…」 麻子はハッとし悠を感心した様に見つめる。 「俺はリコと結月はどんなに すれ違ったとしてもちゃんと 元通りになれるそんな二人だって そう信じてたよ。 それはこれから先もね。」 麻子はそうさらっと言った悠をじーっと見つめている。 「麻子ちゃん?」 「あ、ごめん。なんか私…感動しちゃって。」 「え?」 悠は笑う。 「てか悠くんかっこよすぎだよ! 私が人妻じゃなかったら惚れてるよー! て…もう既にファンになったかもー!」 麻子はそう言って声を張り上げる。 そんな麻子に悠は笑っている。 するとベビーカーで眠っていた颯太が起きて少し泣くと麻子はハッとし颯太を見る。 「ママ興奮しすぎだよって。」 悠はそう言って颯太の頬を突っついた。 麻子は少し照れた様に笑う。 「麻子ちゃん。」 「ん?」 「ありがとね。」 「………?」 「俺…リコも結月も同じくらい好きなんだ。 だから本当に二人には二人で居てほしくて。 だからお節介たくさんやっちゃった。 それが俺の望みだからさ。」 悠はそう言って清々しそうに微笑むと颯太を抱き上げる。 麻子は少し切なそうに悠を見つめるが次第に微笑んだ。
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