誇り

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そして夕方…リコは両手に買い物袋を提げ家のキッチンのテーブルまでやって来た。 窓から夕陽が差し込んでいる。 リコは久しぶりに結月に手料理を振舞おうと気合いを入れる様に腕捲りをする。 そして買って来た食材を袋から取り出して行く。 するとリコの携帯が鳴りリコはバッグへと視線を移す。 リコが携帯の画面を見ると麻子から朝送られた家族写真が出ている。 リコは微笑み電話に出た。 「はいはーい、もしもし?」 「私、今平気?」 「うん。マー子どうしたぁ?」 リコは片手で食材を取り出しながら会話をしている。 「手短にしたいから担当突入に言うね。」 「…?」 「今日、悠くんに会ったよ。 てか、会いに行ったんだけどさ。」 「…?悠くんに?」 「私さ悠くんに、あんたが結月さんに 捨てられた時は、あんたをお願いとか 言ってあったからさ。」 「マー子…何言って…」 「いいから聞いて!」 「あ、うん…」 リコは首を傾げ傾げ耳を傾けた。 「だからね、ちょっと悠くんの事が 気になってさ。うまく行ったリーコの事 実際どう思ってるのかなぁ?ってさ。」 リコは少し表情を曇らせた。 「悠くんは二人がうまく行く事が 一番嬉しいんだってさ。 これ、悠くんがどんな気持ちで言ったか リーコ解るよね?たぶん簡単な事じゃなく そこには色んな気持ちが入ってるんだと そう思う…んだよ…。」 リコは頷く。 「だからさ、なんて言うか… 今度こそ今度こそ! 結月さんに捕まってなさいよ? 悠くんのためにもさ。 あーなんか説教臭いな私…」 麻子はぶつぶつ独り言を言っている。 リコは悠を想う様にじーっと何やら考え込み、そして次第に頷いた。 「うん…。そうだね。うん! 今度こそ離れない。」 「よし、それでこそ柚原リコだよ!」 そう言われリコは思わず笑顔になる。 「しぶといリーコ…いや図太いリーコって 昔から有名だったもんね、あんたは。」 「ちょっと、何それ~。」 麻子も笑っている。 マー子ありがとう。 悠くんにはいつも頼ってしまっていた。 悠くんの優しさに甘えてばかりだった。 マー子に言われ改めて気付く。 自分の中の甘えた自分に。 いやむしろ気付かないフリをして 居ただけなのかな…。 今も昔も頼りっぱなしだな。 これから悠くんに私が何を してあげられるだろうか…。 幼馴染の助言はチクっと胸を痛めた。 だけどどこか懐かしくてそして温かかった。
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