誇り

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「お~~~はよ~~」 リコは朝から疲れきった様な顔でだら~んとした姿勢で響と穂が住むショップHARUまで来た。 「ど、どうしたの?リコさん…」 穂はカウンターから思わず立ち上がりリコを見た。 響も裏から出て来るなりリコの唯ならぬ姿にハッとする。 「な、呪いか…?」 響は顔色が悪いリコを見て呟く。 すると後ろからスーツ姿の結月が歩いて来る。 結月もいつもみたいに髪はセットされてなく目の下にクマができている。 「ゆ、結月さん…まで…どうしちゃったんですか?」 穂は顔を引きつりながら聞く。 「夫婦(めおと)コントかよ…」 響は少し笑う。 「聞いてくれ、二人とも…」 結月はやっとこ口を開き話し出す。 「ゆうべ、こいつが作った麻婆豆腐が 辛過ぎてそれを食ったせいか揃って 明け方から下痢のリピートってわけ。」 穂と響は苦笑いする。 「癖になるって美味しそうに 食べてたじゃん。ハハハ…」 リコは笑う。 「確かに辛さの中に旨味があって つい食っちまったけど… この様ってわけ。」 二人は苦笑いする。 「大変でしたね。もう下痢は止まりました?」 穂がそう聞くと2人は親指を立て頷く。 「よかった…」 穂は苦笑いする。 響は呆れた様に笑う。 「けど…今日結月さんはなんで…?」 穂がそう聞くと結月は二人を見る。 「あ、例のあの時計のCM 俺、出ることになったから その報告。」 「ホントですか?やったー!」 穂は喜ぶ。 リコはまだ体が辛いのかカウンターの椅子に座りテーブルに顔を埋める。 そんなリコを皆は見る。 「リコさんはまだ調子悪そうですね。」 穂がそう言うと響が続く。 「頑丈そうなのにな。」 皆は頷く。 「あ、たぶんあいつの方が量 多く食っちまったから…かもな。」 「なるほど。」 「なるほど。」 響と穂は口を揃える。 「ぁーヴー」 リコは一人うなだれている。
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