希望

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そしてスタジオに響と穂がやって来る。 リコは二人へと行く。 「おはよ!頑張ろうね。」 リコがそう言うと響も穂も真剣な顔でスタジオ内を見渡して居る。 スタッフ達は皆、二人に挨拶し出す。 「もうすぐ出番だから待機してよ。」 響と穂は頷く。 穂は間近で結月の撮影を見ている。 それより少し離れた場所で響とリコは並んで撮影を見ている。 「なんかさ、つい最近までは朝店で 起きたりして、で…そのまま店 オープンさせて…また店閉めて 兄貴んとこの居酒屋で呑んだり バイトしたりって…そういう 毎日だった。けど今、こうして こんな場所で俺…立っててさ… なんかすげぇ怖くなる時あるんだ。」 響は珍しく語り始めリコはそんな響を見つめている。 「でさ、そんな時はいつも… あんたのこと思い出す。」 「へ?」 響はリコを見て笑う。 「な、なんだその間抜けヅラ。」 「もう。だって変なこと言うからさ。」 「変なことじゃねーよ。 愛とか恋とかそんな安っぽい そんなもんじゃなくて… ただあの日のあんた思い出して 自分を強く持とうとしてるわけ。」 「あの…日?って…」 「夜の公園でキャッチボールしたろ? 俺が行き詰まってた時にさ。」 「あー。あの日…。」 「あんた言ったろ? 全力で俺らを守るって…。」 リコは記憶を辿るように首を傾げる。 「あー!もう、言ったんだよ! それで、その日にこの曲… YOUができた。」 スタジオ内ではYOUが流れている。 「え…そ、そーなの?!」 「まぁな。あの時のあんた なんか眩しかった。 その、サンキューな。色々。」 響くん…やけに素直だな。 「あ、なんと言いますか私こそありがとう。 私もsunsetの曲にたくさん救われたから。 ありがとう。」 「あいこってことか。」 「うん。そうだね、あいこだ。」 リコは笑う。 そんな二人を穂が呼びながら駆けて来る。 「響ちゃん、リコさん! 結月さんカッコよすぎ! 見た?今の!」 穂は興奮している。 そんな穂を響はやれやれと言う顔で見ている。 リコも笑って聞いている。
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