希望

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「あの頃、私は焦って居たのかもしれんな。」 皆は首を傾げる。 「会社の事、結月の事。 あの頃の結月はそれはそれは 危なっかしかったからな。」 ひばりはそう言って結月を見て微笑む。 結月は苦笑いをし首を傾げる。 「おまえは小さい頃から宇佐美家の 後継者だと期待を掛けられまた もてはやされて育ったもんだから 融通の効かない傲慢で…だがどこか 心配性で根は臆病で…そんな奴だったから 私は心配だったんだ。 本当は会社の後を継ぐことに 気負いしているんじゃないかと…。 しかし負けず嫌いなおまえは それを出すまいと必死で色んな感情と 戦っている様に見えてな。違うか?」 ひばりは優しく笑う。 結月は図星だと言うよな顔で、ひばりを見る。 「しかしそれを解って居た所で私は 何もしてやることが出来ず日々 どうしたもんかと自問自答していた。 そんな時リコ…おまえに出会ったんだ。 おまえなら結月を変えられる 支えてくれるだろうって… そんな望みを掛けたんだ。 リコ…おまえは私の希望の様な ものだったんだぞ。」 ひばりはそう言ってリコを優しく見つめる。 私が希望…? 御祖母様ったら… 私の方こそ、たくさんもらってるのに。 「リコ…これからも宇佐美家を よろしく頼みたい。 我が孫をよろしく頼むな?」 「お、御祖母様…私こそ 一人ぼっちだった私に こんなにたくさんの家族の 温かさを教えてくれて 私の方こそ感謝しています。 こちらこそ私を…リコを よろしくお願いします。」 リコがそう言うと、ひばりは笑う。 「結月、もう二度とリコを 離すんじゃないぞ?いいな?」 ひばりがそう言うと結月は真剣な眼差しで、ひばりを見る。 「は、はい!もうこいつを離しません絶対。」 結月がそう言うと、ひばりは満足そうに頷きながら微笑む。 「な、なんかしんみりしちゃってない? けどやっぱり私はダメダメな母親ね。 お母様達をこんなに悩ませてる間 呑気に私は海外で……」 「そんなの今更、反省されてもなぁ。 反省なんて、おまえらしくない。 気持ち悪いぞ小百合。」 ひばりがそう言うと小百合はふくれっ面になる。 「もーう!何よ。全く~。今夜は呑むから! 楽しくどんちゃん騒ぎよ!ねぇ?真木!」 小百合がそう言うと真木も頷く。 「さあ皆さん乾杯しましょう!」 真木がそう言うと皆は笑ってグラスを持つ。 ひばりは楽しそうに笑っている。
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