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リコと結月は真木が開けた扉の部屋へと入って行く。
そしてベッドルームへとやって来ると、そこにはベッドの中で眠っているひばりと側で泣いている小百合の姿があった。
リコと結月の顔は凍り付く。
「結月…お母様…起きないのよ…
早起きなお母様が…いくら起こしても…」
小百合は泣きながらそう結月に言う。
真木は立つことも出来ない小百合を抱き締め立たせてやる。
リコは涙を浮かべ口を手で覆い動けず立ち尽くしている。
結月は半信半疑のまま、ひばりへと歩み寄る。
そしてベッドの横で膝を着き眠っているひばりを見る。
「お、おば、御祖母様…?」
結月がそう声を掛けても、ひばりは、びくともせず、ただ穏やかな表情で眠ったままだ。
そこへ医者が辿り着き真木は医者をひばりの元へ連れて来る。
結月は一度立ち上がり呆然と医者を見つめる。
医者は、ひばりの脈を測ったり瞳孔を確認している。
そして重い口を開く。
「すでに、息を引き取られています。」
医者がそう言うと小百合は声を立て泣き崩れる。
真木は小百合を隣の部屋へと連れて行き医者も出て行く。
結月も蒼ざめた顔で動かなくなる。
そしてひばりへとまた膝を着き、ひばりを見つめる。
「お、御祖母様…嘘だろ?」
結月の瞳から、きらっと涙が落ちる。
リコも、ひばりへと駆け寄る。
眠っているひばりを見つめリコは涙を溢れさせる。
「御祖母様!やだよ、やだよ~!」
リコは泣きながら、ひばりを揺らす。
結月は、ひばりの胸の上にある右手の下に何かが見え、そっとひばりの手からそれを取り出した。
それは結月とリコの結婚式での写真が写真盾に入っていた。
結月は涙を浮かべる。
リコは泣きながら、ひばりにしがみ付く。
そんなリコを結月は後ろから抱きしめてやる。
12月14日、御祖母様は突然、私達の前から天国へと旅立った。
青く澄んだ空の美しい冬晴れの朝だった。
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