さよなら, ひばり御祖母様

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結月はホテルの中庭でリコの姿を見つける。 リコはぼんやりと夜空の星を見上げていた。 「風邪引くぞ。」 結月がそう声を掛けるとリコは結月へと向く。 「あ、ごめん。会場行かなきゃだよね。」 「いーよ。今日は通夜だし…。 それにその…ちゃんと 籍入れてないからな。 色々説明もめんどくさいしな。 この際なら、もっと早く 籍入れておきゃーよかったな。」 結月はそう照れた様に早口で言う。 リコはクスッと笑う。 「どーした?まだ落ち着かないか? いや落ち着くわけねーよな。 俺もすること何もなきゃたぶん こうやって立ってるのもやっとだ。」 結月がそう言うとリコは口を開く。 「ユヅのが辛いのに、ごめん。 さっきは、その取り乱したりして。」 結月は座り込みリコの手を引きリコも座る。 「あれか?おふくろさんの最期を 思い出しちゃったか?」 リコは図星だと言う顔で結月を見る。 「ど、どうして解ったの?」 「大体わかる。おまえのことは。 大体な。」 「そっか。凄いねユヅ…」 「おふくろさんの時は一人ぼっち だったかもしれないが今は違う。 俺も居る。だから泣く時は 一緒に泣けばいい。一人で泣くな。」 結月はそう言いリコの頭を撫で自分へと引き寄せた。 リコは結月の胸の鼓動を聞いている。 「医者が言ってた。 くも膜下出血だったけど苦しまず 眠る様に御祖母様逝っただろうって。 よかったな。だからあんな穏やかな 寝顔してたんだな。」 結月はそう涙を流しながら言う。 するとリコは口を開く。 「私もユヅのことが解るよ。」 「は?」 「今、抱っことよしよし、されたいでしょ?」 「はぁ?!」 結月は少しリコから離れる。 するとリコは膝を着き結月を抱きしめ出す。 「お、おい…」 「いいから黙って。」 リコはそう言い結月の頭を撫でた。 結月は幼い頃ひばりにこうしてもらったことを思い出し涙を浮かべる。 幼い結月は泣きながら、ひばりに抱きしめられている。 「どうした結月?ん?」 ひばりは穏やかな顔で結月の頭を撫でている。 「大丈夫だ。結月、おまえは 一人じゃないぞ。 私が居るぞ。ずっとな。」 ひばりはそう言って優しく微笑む。 結月は涙を流しリコにしがみ付く様に抱きついて居る。
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