さよなら, ひばり御祖母様

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そして翌日の葬儀には群馬からマー子とあっちゃんも颯太を連れて家族揃って来てくれた。 そして亜紀さんもアメリカから帰国し葬儀に参列した。 大規模な葬儀を終えホテルのレストランで参列者達は火葬の時間まで会食をしている。 ホテルの中庭で一人立ち尽くす悠に亜紀は声を掛けた。 「久しぶりね、悠。」 悠は少し気まずそうだが微笑む。 「元気そうだね。亜紀。」 「ええ、元気よ。 まさかこんな形で会うなんてね。 そうだ。恋人もできたのよ。」 「そっか。よかった。本当…。」 悠がそう言うと亜紀は少し物足りなさそうな顔をして笑う。 「少しは惜しいことをしたって 後悔した悠を見せて欲しかったのに。」 悠は笑う。 「失恋しちゃったんでしょ? 翼からさっき聞いた。」 「翼、おしゃべりだな。」 悠は笑う。 「リコちゃんは魅力的だから 悠が好きになったのも解るわ。 私もリコちゃん好きだから。」 亜紀がそう言って笑うと悠も微笑む。 その頃、小百合は喪服姿のまま最期にひばりと泊まったホテルの部屋に一人居た…。 ひばりが最期に眠っていたベッドを見つめている。 小百合は最後のあの夜のことを思い出している。 酔いながら小百合は真木に支えられ廊下を歩いている。 隣で、ひばりも上機嫌に歌を口ずさんでいる。 そしてひばりが泊まる部屋の前まで来るとひばりは言った。 「なぁ小百合、今夜は久々に一緒に寝ないか?」 「え?何言ってるの?お母様。」 「マッサージくらい娘なら してくれたっていいだろ! 親不孝もんが全く。」 「解ったわよ、もーう。 マッサージね。 久々にしてあげるわよ。」 小百合はそう言って真木を見る。 「真木、そう言うことだから 今夜は一人でゆっくり休んで。」 小百合がそう言うと真木は頷く。 「親子水入らず楽しんでください。」 真木がそう言うと、ひばりは照れ臭そうに笑っている。 小百合はそのひばりの照れた笑顔を思い出し涙を流す。 そこへ真木がやって来る。 「小百合様、少し横になられますか? 先程まで、毅然と頑張られましたから…」 「当たり前でしょ。これでも宇佐美家の 一人娘だからね。かっこ悪いとこ 見せられないもの。 それに何処かからか、お母様が私に 小百合!しっかりなさいよって そう言ってる様な気がしてなんか… 頑張っちゃった。」 小百合はそう言って微笑む。
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