さよなら, ひばり御祖母様

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そして…御祖母様は火葬され青く済んだ空へ高く高く旅立って行った。 たくさんの人に見送られて御祖母様の人脈の広さと人柄の良さを改めて感じた。 葬儀に参列した人々は誰もが御祖母様の死を哀しんで泣いていた。 「結月、大丈夫?」 火葬場の庭で千春は結月と話をしている。 近くでリコは響と穂と話している。 結月はsunsetの二人を横目に千春に言う。 「悪かったな。撮影押すことになっちまって。 sunsetの二人にも迷惑かけちまったし。」 結月がそう言うと千春は呆れたような顔をする。 「なに言ってんのよ!こんな時に。 今は御祖母様を見送る事だけ 考えていいんだから。 今の宇佐美結月が居るのは ひばり御祖母様が大切に大切に 育てて来てくれたおかげなんだから。 今は余計な事は考えなくていいのよ。 分かった?」 千春がそう言うと結月は軽く頭を下げる。 「ありがとな。千春。」 千春は笑う。 そして千春はリコを見つめ出す。 「それにしても、御祖母様… あんたとリコちゃんの結婚だけは 見届けたかったでしょうね。」 「まぁな。最期に御祖母様、 俺らの結婚式の写真を握ってた。 何を思って、あの日眠りについたのか 今じゃ解らないけどな。」 結月がそう話して居るのを千春は見つめながら聞いている。 「きっとリコちゃんと結月が 本当の夫婦になる日を 楽しみにしていたのね。」 「やっぱ、そうか?」 結月は笑う。 千春も笑う。 「喪が明けて落ち着いたら プロポーズしたら? シャキッとね!」 千春はそう言って結月の背中を叩く。 「いってー!」 結月のその声にリコと響達は振り返る。 千春は笑ってリコへと駆けて行く。 リコは首を傾げて居る。
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