聖夜の誓い

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そして結月が眠りにつきリコは一人グランドピアノの椅子に座り窓から夜空の月を眺めている。 「御祖母様…うちの母と会えました?」 リコは笑う。 「うちの母、肝っ玉母ちゃんって言う その言葉まんまな人なんで、 きっとすぐ解りますよ。」 リコはまた笑う。 そして少し切なそうに微笑み、またピアノへと向く。 会いたいなぁ…。 もう一度、御祖母様とゆっくり話がしたかったな。 リコは次第にピアノに顔を埋め眠り込んでしまう。 リコの閉じた瞼から一粒の涙がこぼれる。 「………コ………」 「リ……コ…………」 「ほれ、リコ…!」 リコは、ひばりの声がした気がしてピアノから飛び起きる。 「御祖母様…?」 リコは寝ぼけたような顔で窓の方を見る。 するとそこには微笑みながらリコを見ている、ひばりの姿があった。 「お、おば、御祖母様…!」 「そんなとこで寝たら風邪を引くぞ。 またそんな薄着で…。夫婦揃って 風邪で寝込むなんてかっこ悪いぞ?」 「御祖母様…私、会いたかった…。」 リコがそう涙を流すと、ひばりは笑う。 「リコ、泣きべそかくんじゃないよう。 いつまでも子供のようじゃ わたくしは安心できないだろ。 わたくしはいつだって おまえと結月の側に居る。 だから笑ってなさい。リコ… おまえの笑顔は人に希望を与える。 だから笑ってなさい。な?」 「御祖母様…」 リコは涙を溢れさせる。 すると、ひばりはすーっとリコへと近付くとリコを抱きしめてやる。 あったかい… リコは幸せそうに、ひばりに抱きしめられている。 「リコ…わたくしはもう行くぞ?」 リコが目を開けると、ひばりは窓の外へすーっと遠ざかって行く。 「御祖母様!」 リコは、ハッとしてピアノから飛び起き目を覚ます。 あれ……? 「御祖母様?」 リコは辺りをキョロキョロと見回す。 なんだぁ…夢…だったのかな? だけど本当に御祖母様に抱きしめられていたみたいに体が温かかった。 今もお腹がポカポカする。 夢なんかじゃないよね? 御祖母様…会いに来てくれたんですよね? リコはそう思いながら窓の外の月を見つめた。
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