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「おい、何してんだ?こんなとこで。」
そこへ結月がやって来る。
「ユヅ!大丈夫なの?」
「あぁ。三時間くらい寝たかな?
大分いい。体が軽い。」
「なら良かった。」
「ん?」
結月はリコの頬が濡れているのに気付きリコの近くまでやって来てリコをじっと見つめる。
「な、なに?!」
「おまえ、泣いた?」
「え?あ、その…」
リコはさっと頬の涙を拭う。
「どうした?変な奴だな。」
「し、信じてくれないかもしれないけどさ…
さっき…」
「ん?さっき…なんだよ?」
「御祖母様に会ってたの。」
リコがそう言うと結月は少し止まるが次第に優しく笑い出す。
「そっか。で、元気だったか?
御祖母様は…。」
リコはすんなり信じてもらえ少し驚くも話を続けた。
「うん、めそめそ泣くなってさ。
笑ってろって言われた。」
「なるぼどね、御祖母様らしいな。」
「うん。」
二人は笑う。
そして二人はピアノに寄り掛かり窓の月を眺めながら話し込む。
「俺も会いたかったなぁ…
御祖母様の幽霊に…。」
「幽霊って…」
「ひばり幽霊に会いてーなー。」
結月はそうふざけながら叫ぶ。
リコは笑う。
「ちょーっと~!御祖母様、
ホントに怒って出て来るかもよ。」
「出て来てもらおうじゃん。
なぁ?御祖母様。」
結月は、ひばりに話しかける様に月を見つめる。
「そうだ!御祖母様を怒らせたら
出て来るかもだな。」
「え?怒らす?」
「そうだよ、なんかなかったかなぁ…?」
二人は夜な夜な、ひばりに会いたいがために、まるで子供の様に策を考えるのに夢中になっている。
この日の夜はバカみたいだけど私達は飽きることなく御祖母様の噂話を続けた。
そうしているうちに本当に御祖母様が、おい、うるさいぞ!ってそう言って私達の前に現れる気がしたんだ。
ありえない事と解っては居ても、なんだかやめられず期待していた。
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