聖夜の誓い

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そして小百合と真木は帰り、病室ではリコと結月が話をしている。 「ホント今日は、びびったよ。色々とな。」 「ごめん…。」 リコは笑う。 「おまえ全然気付かなかったのか? 自分が妊娠してること…。」 「うん、全く…。今日初めてちょっと 熱っぽいというか怠いなぁって感じた。」 「呑気なやつだ。けどさっき医者に 聞いたらまだ妊娠2ヶ月目だって?」 「うん。」 「まだ妊娠初期だから安定期に入るまで 気をつけるようにって言われた。」 「うん。そうだね。」 リコは幸せそうにお腹に手を当て頷く。 そんなリコを見つめると結月は急に立ち上がる。 「なに?」 「俺もベッドに入れろ。」 結月はそう言ってリコの後ろに座りリコを後ろから抱きしめる。 「あったかい。」 リコは笑う。 結月はリコの手をとる。 「目つぶれ。」 「え?」 「いいから。」 リコは言われるがまま目を閉じた。 結月はリコの手のひらに指輪の入ったケースを乗せる。 そしてぱかっとケースを開ける。 「よし、いいぞ。目開けて…」 リコが目を開けると手のひらにきらきらと優しく輝くダイアモンドがある。 リコは驚く。 「これ渡すはずだった。あの遊園地で。」 リコは言葉を失っている。 結月はリコの逆の手を握る。 そして耳元で言う。 「結婚してください。」 リコはドキッとした顔をした後、嬉しそうに微笑む。 「返事は?」 「は、はい。」 すると結月は笑ってリコの頭を撫でる。 そしてリコの左手の薬指に指輪をはめる。 リコは感動して目をきらきら輝かせている。 「これから三人だ。二人でこいつのこと めちゃくちゃ幸せなやつにしてやろうぜ。」 結月はそう言ってリコのお腹に手を当てる。 リコはぽろっと涙を流す。 そして頷く。 結月はリコを抱きしめる。 リコも結月の腕にしがみつき二人は微笑んでいる。 今年のクリスマスイヴは今までで最高のイヴだ。 私たちパパとママになるんだね…。 リコは嬉しそうに涙を流し笑っている。 後ろに居るユヅに気付かれないように私はそっと泣いた。 嬉しくて幸せで涙が止まらないなんて恥ずかしくてユヅに知られたくなかったから。 ユヅ…ありがとう。 私をお母さんにしてくれて…。 リコを抱きしめる結月の瞳もまたきらっと光っていた。
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