守りたいもの

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翌朝、リコと結月は病室で何やら話をしている。 「ユヅ…どうしたの?その雑誌…」 リコは売店から戻って来た結月の持つ雑誌に目をやる。 「育児本だよ。」 「それ…全部?」 「あぁ。売店にあるやつ全部買い占めた。」 結月はそう当たり前の様に言い笑っている。 「買い過ぎだよ!」 リコがそうツッコミを入れると結月は雑誌を見せる。 「いいか?おまえみたいな 無頓着なやつは、ほっとくと 心配だからな。ちゃんと俺が調べて 出産までアドバイスってやつを しないとならないんだよ。 ほらちゃんと読めよ。」 結月はそう言って何だか張り切っている。 そこへノックをすることなく突然、病室の扉が開きリコと結月は驚き扉を見る。 そこには慌てた様子で翼が立ちはだかっている。 「翼!」 結月がそう言うと翼は今にも泣きそうな顔をし二人に頭を下げた。 「ごめん!リコちゃん結月!」 リコと結月は顔を見合わせ首を傾げる。 「俺が昨日リコちゃん連れ回して 挙句ちゃんと送り届けなかったばっかりに リコちゃん倒れて…ホントにごめん!」 翼がそう言い切るとリコと結月は笑う。 「翼…頭あげろって…」 翼は首を振り頭を下げ続けている。 結月は翼の肩を抱く。 「おい、見ろよこれ。」 結月はそう言って首に掛けられたネックレスを翼に見せる。 「あ……」 翼がそう言うと結月とリコは笑う。 「サンキューな。翼がアドバイス してくれたんだってな? 気に入ったよ。これメッセージも 入れられてプレートも選べて… 世界でひとつのアクセなんだろ? 翼…ありがとな。」 結月がそう言うと翼はホッとしたように笑う。 そしてリコへと向く。 「リコちゃん大丈夫なの? 倒れたんでしょ?」 「大丈夫だよ。」 リコがそう返すと翼はふとリコの手にある雑誌を見る。 「はじめての…にんしん…妊娠?!」 翼は次第に声を張り上げる。 「え?妊娠って…り、リコちゃんがー?!」 翼がそう言うとリコと結月は笑って頷く。 「あぁ。俺もついに父親になる。」 結月がそう言うと翼は手で口を塞ぎ驚いている。 そして結月に抱きつく。 「おめ、おめでとう!結月! うわ、すげー!!」 「おい、落ち着けよ…」 結月は笑っている。
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