守りたいもの

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その頃…Reverseではカウンターの中で皆にドリンクを作っている真治と翼が話し込んでいる。 「真ちゃんありがとう。」 翼はそう言ってトレーにドリンクを乗せる。 「もう閉めた後なのに 押し掛けてごめんね。」 「いいって。まだ残ってたから 気にしないで。」 「ありがと。後は適当にやるから 真ちゃんは休んでね。遅番お疲れ!」 翼はそう言いソファー席にいる悠と龍之介へと行く。 悠と龍之介は話し込んでいた。 「結月、少し遅れるって。」 悠がそう言うと龍之介は悠を見る。 「診察長引いてるのか?」 「いや、なんか病院変えるみたいだよ。 これから結月が生まれた病院にリコを 連れて行くって…。」 「ん?」 そこへ翼がドリンクを持ちやって来る。 「はい、お待たせ。」 「おう、サンキュー。」 「ありがとう。」 龍之介と悠はドリンクを受け取る。 「結月たち何だって?」 翼がそう言うと悠が答える。 「なんか、これから結月が 生まれた病院に行くみたいだよ。」 悠がそう言うと翼はハッとする。 「あ、俺…前に結月から聞いたことある。 確か結月を取り上げた助産師さんの話!」 悠と龍之介は首をかしげる。 その頃…都心から少し離れた住宅街にあるパーキングエリアに車を止めリコと結月は歩いていた。 こんなとこに病院なんてなさそうだけど…。 リコは辺りを見回しながらそんな事を考えている。 すると古びた平屋の建物の前で結月は止まる。 「ここだ。」 リコはその建物の門に掛けられている看板を見つめる。 「小松助産院…」 リコはそう読み結月を見る。 結月は懐かしそうに笑っている。 「おふくろも此処で生まれて… おふくろも俺を此処で産んだらしい。」 なんか意外だった。 宇佐美家は代々、有名な総合病院の産科とか有名な産科医が居る産医院とかだと思っていた。 古いその建物は何だか温かさを感じだ。 ユヅの後に続き中に入ると明るい笑顔が印象的な一人の女性が出迎えた。 「あら?結月くん?」 「久しぶり!優子さん。」 ユヅが優子さんと呼んだ人は此処の助産師さんで何だが親しそうにユヅは優子さんと話し込んだ。
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