7110人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうか、結月くんがパパになったのかぁ!
なんかびっくりだね。けど凄く嬉しいよ。」
優子はそう言って湯呑みを口に運んだ。
「なぁツナばぁは?」
結月はそう言って辺りをキョロキョロしている。
ツナ…ばぁ?!
リコは首をかしげる。
「ツナ居ねーの?」
なにツナって…?
リコはまたまた首をかしげる。
すると優子は笑い出す。
「懐かしいね、お母さんの事
そう呼ぶの結月くんぐらいだから。」
「あの~ツナばぁって…?」
リコがそう聞くと結月は笑いながら話出す。
「ここの院長で優子さんの
お母さんでもあり、おふくろと俺を
取り上げた人だ。
小松 ナツって言うからガキだった俺が
勝手にあだ名付けてそう呼んでたんだよ。」
結月がそう言うと優子も笑いながら続けた。
「母は気が強くてね普通はみんな
おっかなくてそう呼んだり
出来ないのに結月くんは
そんなこと気にしないで、
そう呼んでは母に怒られてたの。
二人でよく痴話喧嘩してたっけ。」
優子はそうリコに話して聞かせた。
「あぁなるほど~。ユヅは
子供の頃から生意気そうな
そんな気がしますもん。
なんか分かります。」
「なんだと?」
結月はリコを横目にしかめっ面をする。
「けど…ひばり御祖母様の前だと
結月くんも母のことちゃんと
ナツさんて呼んでたわね。
ひばり御祖母様には頭が上がらないのね。
あ、うちの母とひばりさんは幼馴染なの。
同い年で小さい頃から仲良しで…。」
「へぇ~御祖母様とご友人なんですかぁ…。」
リコは笑う。
「結月くん…ひばりさんの葬儀には
出席出来ず申し訳なかったわね。
母と行くつもりだったのに調度
患者が産気づいちゃって…」
「けど通夜に来てくれたし…
こっちこそゆっくり話も出来なくて
なんか悪かったなぁ。ごめんな?」
結月のそう話をする姿を優子はじっと見ている。
「なんかホント大人になっちゃって…
通夜の日も母と話してたのよ。
立派になったって。」
結月は照れくさそうに笑う。
そこへ割烹着を着た小柄な老人が顔を出す。
「結月か?」
結月とリコは振り返る。
「あ、ツナばぁ!久々。元気か?」
結月が、立ち上がりそう言うとナツはやって来る。
「何がツナばぁだよ。
相変わらず可愛くないガキだ。」
ナツはそう言って結月の前で立ち止まる。
最初のコメントを投稿しよう!