守りたいもの

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「そうか、結月くんがパパになったのかぁ! なんかびっくりだね。けど凄く嬉しいよ。」 優子はそう言って湯呑みを口に運んだ。 「なぁツナばぁは?」 結月はそう言って辺りをキョロキョロしている。 ツナ…ばぁ?! リコは首をかしげる。 「ツナ居ねーの?」 なにツナって…? リコはまたまた首をかしげる。 すると優子は笑い出す。 「懐かしいね、お母さんの事 そう呼ぶの結月くんぐらいだから。」 「あの~ツナばぁって…?」 リコがそう聞くと結月は笑いながら話出す。 「ここの院長で優子さんの お母さんでもあり、おふくろと俺を 取り上げた人だ。 小松 ナツって言うからガキだった俺が 勝手にあだ名付けてそう呼んでたんだよ。」 結月がそう言うと優子も笑いながら続けた。 「母は気が強くてね普通はみんな おっかなくてそう呼んだり 出来ないのに結月くんは そんなこと気にしないで、 そう呼んでは母に怒られてたの。 二人でよく痴話喧嘩してたっけ。」 優子はそうリコに話して聞かせた。 「あぁなるほど~。ユヅは 子供の頃から生意気そうな そんな気がしますもん。 なんか分かります。」 「なんだと?」 結月はリコを横目にしかめっ面をする。 「けど…ひばり御祖母様の前だと 結月くんも母のことちゃんと ナツさんて呼んでたわね。 ひばり御祖母様には頭が上がらないのね。 あ、うちの母とひばりさんは幼馴染なの。 同い年で小さい頃から仲良しで…。」 「へぇ~御祖母様とご友人なんですかぁ…。」 リコは笑う。 「結月くん…ひばりさんの葬儀には 出席出来ず申し訳なかったわね。 母と行くつもりだったのに調度 患者が産気づいちゃって…」 「けど通夜に来てくれたし… こっちこそゆっくり話も出来なくて なんか悪かったなぁ。ごめんな?」 結月のそう話をする姿を優子はじっと見ている。 「なんかホント大人になっちゃって… 通夜の日も母と話してたのよ。 立派になったって。」 結月は照れくさそうに笑う。 そこへ割烹着を着た小柄な老人が顔を出す。 「結月か?」 結月とリコは振り返る。 「あ、ツナばぁ!久々。元気か?」 結月が、立ち上がりそう言うとナツはやって来る。 「何がツナばぁだよ。 相変わらず可愛くないガキだ。」 ナツはそう言って結月の前で立ち止まる。
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