守りたいもの

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千春は笑い出す。 「なるほどね。ありがとうリコちゃん。」 「へ?」 「マネージャーの仕事ちゃんと 考えてやっていてくれたのね。 ほら、きっかけは私がゴリ押し しちゃったのが始まりだったから。 だけど…リコちゃんが任されたとか やらされたとか、そんな風に 思ってないって解ったから なんか嬉しい。だけど…残念だけど… 妊娠している体でマネージャーの仕事は 続けられるほど甘い仕事じゃないかな。 だから、今は産休って事で仕事は 休む事を勧めるわ。」 リコは少し気を落とす顔をする。 「リコちゃん!あくまでも産休。 リコちゃんには私もマネージャーという 仕事をまたやってほしいって思ってる。 いつになるか今は解らなくても子供が 大きくなれば仕事復帰だってできる! 今の世の中、働くママなんて いくらだっているんだから。 女は強し!大丈夫! sunsetの二人のマネージャーは私が 引き継ぐから安心して元気な赤ちゃん 産みなさい。ね?」 「千春さん…」 リコは少し目が潤んでいる。 結月は嬉しそうに笑っている。 「結月、あんたもリコちゃんに 育児任せっきりじゃだめよ? 今はイクメンって言葉があるくらいだから 男も子育てには積極的に協力するもんよ。 女は妊娠をするといろんな事が ガラリと変わっちゃうの。 仕事だったり…体調管理とかもあって いろんな事を我慢したりして… そうやって変えていかざるを得ないの。 だからしばらくは、結月も遠方の 長期撮影は行っちゃだめよ? リコちゃんとお腹の子だけにしたらだめよ?」 千春はそう言って笑う。 「解ってるよ。心配でこいつ 一人にさせられっかよ。 ドジでマヌケな、おまけに 大食いだからな。 妊婦に食べ過ぎはよくないって 書いてあったし…」 「お?早くも子煩悩パパになる予感? よかったねリコちゃん!」 千春は笑う。 リコも涙を拭いながら笑っている。 なんでかな… 最近、私すぐ涙ぐむ癖がある。 泣き虫になったなぁ。 これも妊娠したからなのかな? そして… 私達は、慌ただしくあっという間に年末を迎えた。 ユヅと神崎さんが手掛けた写真集も出版し、ついに手元に写真集が届いた。 「今年の年越しはパーッとみんなで やるのもいいけど…二人で ゆっくり過ごさないか?」 ユヅがそう言ったから私達は二人きりで…いや三人で年を越し、そして新しい年を迎えた。
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