翼の恋

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翼さんに少し笑顔が戻った。 やっぱり翼さんには笑顔が似合う。 がんばれ翼さん! リコはそんなことを思いながら翼と龍之介を見送っていた。 「よし、なんか食うか?」 結月は玄関の外でそうリコに言うとリコのお腹が調度鳴る。 「あ…」 リコはそう言って照れながら笑うと結月は笑う。 「よし!なんか作ってやる。」 「やったぁ!」 二人は家の中に入って行く。 キッチンでリコは料理を作る結月をアシストしている。 「ねぇそう言えばさ、龍之介さんの 恋の話とか聞いた事ないけど… 龍之介さんて、彼女とか居るの?」 リコがそう言うと結月は言う。 「まぁ遊ぶ女はたくさん居るけど… 彼女っていう彼女の話は俺も 聞いたことないな。 強いて言うなら年上が好きだな。」 「ふぅーん。なんか龍之介さんて みんなにとって長男って感じだよね。 みんなに頼られるけど…龍之介さん自身は あまり頼ったりしないよね。」 「確かになぁ…。龍之介から何か 頼られたりってないなぁ…。 龍之介もあー見えて結構、 家が複雑なんだよ。あまり自分の事は 話したがらない昔から。 ちょっと寂しい気もするけどな。 けどそういうあいつのこと解って翼も 悠も俺も踏み込んだりしないんだ。」 「そっかぁ…」 リコがそう言うと結月はそんなリコを見て言う。 「どうした?」 「うん、なんか頼ってばかりだから 龍之介さんにも何かしてあげられる事 ないのかなぁって…ちょっと思ってさ。」 「そうだな…。」 二人は料理をしていた手を止める。 その頃… 龍之介は翼を彩笑の居る伯母の家に送り届けて車に乗ろうとしていた。 するとスマホの画面に”亜衣”と出て居るのを見て龍之介は少し顔をしかめた。 龍之介は車に乗り少し躊躇ってから電話に出た。 「よぅ…どうした?」 龍之介はそう優しく言う。
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