龍之介の秘密

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翼は黙って居る龍之介を悲しそうに見つめている。 「なんで何も言わないんだよ?! 一人で抱え込むなよ!なんのための 俺たちなんだよ?俺たちには話せよ!」 翼がそう言うと龍之介は深く溜息を吐く。 翼と結月は首を傾げる。 「いい加減…暑苦しいって…。 俺らいくつだよ?」 龍之介はそう言って翼と結月を見る。 「もうこれ以上、干渉すんなら俺パス。」 「は?」 翼がそう言うと龍之介は言う。 「だからもうダチでも何でもねえって事。 パスだわ。マジ…。じゃぁな。」 龍之介はそう言って翼にまた背を向けた。 「亜衣!行くぞ!」 龍之介はそう叫ぶ。 そして…玄関の扉へと歩き出した龍之介に翼は叫んだ。 「な、なんだよパスって…!」 翼はそう言って龍之介の胸倉を掴む。 「おい!」 結月は二人を離れかせようと止めに入る。 そこへリコ達が来て唖然とする。 「パスって何だよ?!俺らをそんな一言で 終わらすのかよ?おまえは!!」 翼はそう叫ぶと龍之介の胸倉を掴んでいる手を震わせ、目に涙を浮かべる。 そして胸倉を離し床に崩れ込むようにしゃがみ込み涙を流す。 龍之介はそんな翼を見降ろした後、何も言わず襟元を直し始める。 「亜衣…行くぞ。」 龍之介がそう言うと亜衣は頷き龍之介へと歩き出す。 結月は玄関のドアノブに触れた龍之介を呼ぶ。 「龍…」 龍之介は一度止まる。 「何があった?」 結月がそう言うが龍之介は扉を開けそのまま出て行ってしまう。 亜衣は皆に一礼してから龍之介を追う様に足早に玄関を出て行った。 玄関の扉が閉まると床にしゃがみ込んでいた翼は拳を床に叩きつけた。 「くそっ!何なんだよ!!」 翼がそう言うと結月も心配そうに龍之介が出て行った玄関の扉を見つめている。 リコは泣いている翼と玄関を見つめる結月の背中を見つめ涙を流す。 どうして…こんな風になっちゃったんだろ…? 龍之介さん一体どうしちゃったの……?
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