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そして…深夜、龍之介は母親の働くスナックへ訪れていた。 龍之介はドアの前で少し躊躇し立ち尽くしている。 店内のカウンター席では年増なケバい化粧をした女…佳織がタバコを吸っている。 女は少しくたびれた感じでロングヘアを掻き上げる。 店の扉が開かれたベルが鳴り佳織は言う。 「ごめん…今日臨時で休み…」 そう言い掛けドアに目をやると佳織は少し驚く。 「龍…」 龍之介は少し怒った顔をしている。 佳織は龍之介から目をそらしながら椅子から立ち上がる。 「なんだ、つっ立ってないで ほら入んなよ。」 佳織はそう言ってカウンターの中へと行く。 龍之介は何かを確信したような目をしながらカウンターへと行く。 「久しぶりだね。元気にやってんの? 高そうなスーツ着ちゃって…」 佳織はそう言ってビールの瓶を取り出す。 「ビールでいいよね?」 佳織はそう言ってビールの瓶の栓を抜く。 「聞きたい事がある。」 龍之介がそう言うと佳織は手を止める。 「やばいことに関わってないよな?」 龍之介がそう言うと佳織は龍之介をちらっと見るが目を反らしグラスにビールを注ぐ。 「なに?やばいことって?」 佳織はそう笑いだす。 龍之介はそんな佳織をじーっと見透かした様に見つめる。 「あんたが誤魔化す時はすぐ解る。」 龍之介がそう言うと佳織は笑って龍之介を見る。 「何それ…あ、息子だから 何だって解るってか?」 佳織はそう言って笑う。 「あのビルに関わってるやつらとは 関わるなよ。いいな?」 龍之介がそう言うと佳織は龍之介から目を反らす。 「私の付き合う人くらい自分で決めるよ。」 佳織はそう言って笑顔を崩した。 龍之介は目を閉じ辛そうな顔をする。 「あんたの為にも言ってんだよ。 頼むから…もう関わらないでくれ。 亜衣にも…」 龍之介がそう言うと佳織は亜衣という名前が出た途端、不機嫌になる。
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