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「兄妹ごっこかい?いいねーあんたは。 父親選んで母親の私を捨てたんだもん。 おかげで私はこのザマさ。」 佳織がそう言うと龍之介は顔を強張らせる。 「慰謝料代わりにあいつから貰った金で 12年前この店始めたけどさ…ちっとも うまく行かなくなったよ。 不景気ってやつさ。それに比べて あんたは何不自由なく高そうなスーツ着て 店経営してんだもんね。 父親に似て賢い子だよホントにさ。 要領がいいのかね~。」 佳織がそう言うと龍之介は黙っている。 佳織はそんな龍之介を見て哀しそうな顔をした後、急に怒り出す。 「もう帰んな!あんたの顔なんか 見たかないから…!」 佳織がそう言うと龍之介は立ち上がる。 佳織はまた哀しそうな顔をする。 龍之介は黙ったままドアへと歩き出す。 佳織は龍之介の背中を見つめ悔やむ様に何かを言いたそうにするが言葉を飲み込む。 龍之介は店を出て行った。 佳織は苛立った様にテーブルにあったグラスを乱暴にシンクに叩きつけた。 龍之介が店を出ると外は雨が降っていた。 龍之介はそのまま濡れたまま歩き出す。 店内では佳織がタバコを吸いながら、ふと窓の外の雨に気付きハッとして店を出て傘を持ち辺りを見回す。 しかし龍之介の姿はもうなかった。
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