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リコと翼はリビングに亜衣を通しソファーで話を始めた。 「何か話したい事あるんだよね?」 リコがそう切り出すと亜衣は頷く。 「あの…あんな酷い事言ったの お兄ちゃんだけど…だけど! お兄ちゃんを助けてあげて 欲しいんです!」 亜衣がそう必死な顔で言うとリコと翼は顔を見合わせ黙り込む。 「お兄ちゃん…私にも何か隠してて…。 何も言わない人だけど…なんか 今回ばかりは私、心配で… 嫌な胸騒ぎがするんです。」 「助けるって言っても…なんつーか 龍之介は何を抱えてるの?」 翼がそう言うと亜衣は少し考えたあと口を開く。 「お母さん…」 翼とリコは首を傾げる。 「お兄ちゃん…たぶん孤独なんです。 お兄ちゃんの生みのお母さんが 居るんですけど、お兄ちゃんはやっぱり 一人で住むお母さんの事心配だから 離れてからも時々は顔を見に 行くらしいんですけど…お母さんは お兄ちゃんの事誤解していて…。 会ってもあまりいい顔しないらしいんです。 だから…お兄ちゃんはずっと孤独なんです。 私の母もお兄ちゃんを毛嫌いしてるし 父もそんな母に気を使ってお兄ちゃんより 私の母って所があるから…それで昨夜も お母さんと何かあったんじゃないかって…。 何かいい加減もう疲れたのか何だか 自棄になってるとこあったから皆さんにも あんな事言ったんじゃないかって…」 亜衣は涙をこぼす。 「ねぇ龍之介さんのお母さんは 龍之介さんの事どう誤解してるの?」 リコがそう聞くと亜衣は口を開く。 「お母さんはお兄ちゃんにも捨てられたと そう思ってるみたいです。 お兄ちゃんは父の言う通り父に 着いて行ったから…それで捨てられたって そう思ってるみたいで…。 けど!確かにお兄ちゃん自身が父との 暮らしを選んだ事に間違いはないけど… それには訳があって…。決してお母さんを 捨てた訳じゃないんです!でもお兄ちゃん その事言わないから…ずっと何だか 蟠りの様な物が出来てるみたいで…。」 亜衣はそう言って、また涙をこぼす。 「それに最近じゃ何かに諦めたかの様に 父の言いなりになってやりたくない 仕事したり…なんか心配で私…。 どうしたらいいか…!」 亜衣がそう言って俯くとリコは亜衣の背中をさすってやる。 翼は深刻そうな顔をして、ただただ黙っている。
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