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佳織はリコを見てリコのお腹を見つめ妊娠している事に気付いた顔をする。 乱暴にリコの手を縛り出す男に佳織は言う。 「ちょっと!この子…お腹に 赤ん坊居るんだからこの子だけは 縛んないであげてよ!」 佳織がそう言うと男はリコの体をよく見る。 「ねぇ!あんた達だって人殺しにまで なりたかないでしょ? なら…この子には乱暴な真似止めといた方が いいんじゃないの?赤ん坊はちょっとの ストレスだって堪えるんだから。」 佳織がそう言うと男達は顔を見合わせ躊躇した後、翼の手を縛っていた男が首を振り、もう一人の男はそれに従うようにリコの手を縛りかけていたロープを解いた。 「わ、私…逃げたりしないから…」 リコがそう言うと男はリコを見て言う。 「あたりめーだ。おかしな真似したら 容赦しねーぞ!」 「は、はい…」 リコがそう言うと佳織はホッとした顔をする。 リコは佳織を見て軽く頭を下げた。 すると佳織は優しく笑いリコのお腹を懐かしそうに見つめる。 この人が龍之介さんのお母さん…? きりっとした切れ長の目が確かに龍之介さんに良く似ている。 そして…優しい眼差しも…。 その頃… 結月は急いで自宅まで帰って来た。 家中捜してもリコの姿はなく結月は溜息を吐く。 「ったく…あいつ…。」 結月はスマホを取り出す。 そして…スナックでリコの着信音が鳴り出す。 あ…! リコはピクッとする。 男達はリコへと行きリコの服に掛けられたショルダーバッグを奪う。 そして…乱暴にバッグからスマホを取り出した。 男は画面を見る。 「”ユヅ”?旦那か?」 男達はそう言って笑う。 ユヅ……! リコは心の中で叫ぶ。 男は電話を切り自分のポケットにしまう。 リコはふくれっ面になる。 その頃…結月は慌てて、また車に乗り込んで居た。 そして…龍之介に電話を掛ける。 しかし店の開店準備をしている龍之介はポケットで、鳴っているスマホに気付き画面を見る。 結月という文字を見つめ少し躊躇している。 「店長…」 部下にそう呼ばれ龍之介はスマホをテーブルへと手放してしまう。 結月は中々電話が繋がらずヤキモキした様にハンドルを軽く叩く。
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