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リコは佳織の縄も解き始める。 「私のはいいから早く行きな!」 佳織がそう言ってもリコは佳織の縄を解いて行く。 「龍之介さんに、ちゃんと 向き合ってあげて下さい。」 リコがそう言うと佳織はリコを見る。 リコは優しく笑い頷く。 「よ、よし!行くよ?とりあえず 俺が表から行くから、その隙に リコちゃん達は勝手口から出て! いいね?」 「うん!」 リコは頷く。 「よーし!やってやるー!」 翼はそう言って…ドアへと走る。 リコと佳織も勝手口へと急ぐ。 翼が店の外に出ると男が呑気にスマホを耳にし何やらニヤけながら話し込んでいた。 「なんだ女の子とラブコール中?」 そう言うと男は振り返ろうとしたその瞬間…翼は男のスマホを奪い走る。 「おい!コラァ!返せよ!」 「やだー!」 翼は走る。男も追い掛ける。 「かけっこだけは早いの僕ちん…」 そう叫びスマホを耳に当てながら走り続ける。 「あ、もしもし?このスマホの 持ち主さんは悪い事したから 没収しましたー。」 「おいテメーふざけんな!」 男は叫びながら翼を追い掛け続ける。 その頃…リコと佳織は勝手口から出て…足早に店から離れようとしていた。 路地の一角まで来るともう一人の男が道を塞いだ。 リコと佳織はハッとし立ち止まる。 ヤバ……! 「やっぱり…あいつに任せると ダメだな…。なぁ?」 男はそう言って笑う。 「逃げな。あんただけでも。 こいつは、さっきの男みたいに 簡単にはいかない。もう無理だよ。」 佳織がそうリコの耳元でささやく。 「けど…!」 「あんた、母親だろ?母親なら 死ぬ気で赤ん坊の事だけ考えな!」 佳織がそう強く言うとリコはハッとし悩む。 「ほらコソコソ話してねーで… 自首しろよ。ハハハ。」 男はそう言って笑っている。 リコは目を閉じ振り返ろうとするがその一歩が出ない。 佳織は逃げないリコにヤキモキする。 「ほら、早く!」 佳織がそう言うとリコは目を開け、また振り返り佳織を庇う様に佳織の前に立ちはだかる。 佳織は首を傾げる。 リコは男を睨む。
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