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その頃…リコと悠は佳織と店の前まで戻って来ていた。
「ホント気の強い妊婦だね、あんた…」
佳織はそう言って笑う。
リコは笑っている。
「リコ…あんま無茶しないで。」
悠はそう言って優しく笑う。
リコも笑っている。
すると…リコは突然 お腹に痛みを感じて体を屈ませる。
あ…れ…
いた…痛い…
「リコ…?」
悠はリコの背中に呼び掛ける。
「あれ?ちょっと…イタタタタ…」
リコは苦笑いする。
悠と佳織の顔色が変わりリコへと覗き込む。
「ちょっと…あんた大丈夫?」
リコは地面に膝をつき倒れる寸前で悠がリコを支える。
「リコ…?」
リコの額から汗が滲み出ている。
「ごめ…ん…悠くん…お腹…痛い…」
悠はハッとし戸惑う。
そこへ結月と翼がやって来る。
佳織は翼に気付き駆けて行く。
「ちょっと~!」
翼は佳織の姿を見て笑う。
「あ、あの人…龍之介のママだよ。」
翼はそう結月に言ってから佳織に笑って手を振り返す。
「早く!あの子が…!」
結月と翼は佳織を見て首を傾げた瞬間…倒れているリコに気付きハッとする。
結月はリコへと走り出す。
ユヅ…
ごめんね…
赤ちゃん…
ごめんね…
パパの言う事聞かなくて…
リコは痛みで頭の中が朦朧としている。
「結月!俺らもすぐ行くから!」
担架に乗せられたリコに付き添う結月に翼は叫ぶ。
そこへ何も知らない龍之介が救急車の騒ぎを不思議に思いながら佳織の店の前まで歩いて来る。
そして野次馬の人混みの中から救急車に乗せらて行くリコと後から一緒に乗り込んだ結月の姿に驚く。
そして人を掻き分け走り出す。
「龍!!」
悠は車に乗ろうとした時、龍之介の姿に気付き叫ぶ。
翼はその声で車の中から窓の外を見る。
龍之介は悠を見る。
「後からお母さんと来なよ。ね?」
悠がそう言うと龍之介は半信半疑のままだが何か罪悪感の様なものを感じて頷けずにいた。
悠は仕方なく運転席に乗り車を発進させた。
翼は龍之介を見るがどんな顔をしたらいいか解らず戸惑っている。
佳織は龍之介へと駆け寄る。
「龍之介!私のせいで、あの女の子が…」
佳織がそう泣きつくと龍之介は何となく状況を察し佳織の肩を抱く。
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