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リコが悠の家の最寄駅から出て来ると悠が待っていた。
「悠くん!」
「リコ…心配したよ。」
「ごめん…」
リコがそう言うと悠は優しく笑ってリコの頭を撫でる。
「寒くない?ほら乗って。」
悠はそう言いリコを車に乗せた。
運転しながら悠はリコに言う。
「ねぇリコ…明日、何時にこっち出ようか?」
「夕方でもいいかな?」
「うん構わないけど…?」
「よかった。マー子の使いで
色々と回りたくて…。
けど悠くんは久しぶりだし
翼さんやお母さんとかと
過ごしていいからね?」
「ぇ…付き合うよ?」
「いいのいいの…!
久々の東京なんだし
悠くんだってしたい事
あるでしょ?
今日付き合ってもらったし
悠くんも悠くんの時間
楽しんでよ。」
「そっか。解ったよ。」
悠はそう言って笑う。
リコはホッとした様な顔になる。
あぶない…あぶない…!
弁償代わりにバイトを
頼まれたなんて悠くんに
言ったら心配させちゃうもんね。
リコがそんな事を考えて居ると悠が口を開いた。
「ねぇリコ…結月ともう一度
会わなくてホントにいいの?」
悠がそう言うとリコは黙り込む。
「いいの。もう…。」
リコはそう言って笑い窓の外を見つめる。
月が欠けている。
その頃、結月は一人とあるスタジオで写真を並べて何やら作業をしていた。
そこへ携帯が鳴り結月はポケットから携帯を取り出す。
「もしもし…」
「結月か?」
その声に結月は一瞬顔が強張る。
「神崎さん…具合どうですか?」
「大丈夫だよ。気にするなって。
それより俺の代わりに例のやつ
進めてくれよな?」
「はい!今もやってるとこです。」
「楽しみだな。俺がこんなざまだから
迷惑掛けるだろうが結月、頼むな?」
結月は急に黙り込み辛そうな顔をする。
「結月?もしもーし?」
「すみません…」
結月は泣きそうな声で言う。
「すみません…俺のせいで…」
「結月…あれは事故だ。
誰のせいでもない。
何度も言わせるな。な?」
「けど俺…」
結月は泣き出す。
「いいか結月!そうやって
泣いてる暇があったら…
いいもん作れ!
おまえがどうしても責任感じて
俺に詫びたいって言うんなら…
それが償いになる。」
「神崎さん…」
「解ったら早速、始めろ。
じゃぁな。」
神崎はそう優しく言って電話を切る。
結月は堪らなくなり泣きながら顔を覆う。
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