「 LOVE 」

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そして…助産院に着くと、産院の前でナツと優子が立ち尽くして居た。 「リコちゃん、立てる?」 リコは辛そうにも頷く。 悠は車から降り後部座席の扉を開ける。 すると車内を覗き込む様にナツが声を掛ける。 「リコ!」 すると小百合が言う。 「ナツさん!リコちゃん急にお腹が 痛み出したの!」 「うん、大丈夫だ…赤ちゃん診てみよう。 リコ…?大丈夫だからな。安心しろ。」 ナツがそう言うとリコは痛そうにしながら二度頷く。 そして…リコはナツと優子に支えられながら院内の処置室までやって来てベッドに横たわる。 すると…リコのふくらはぎに液体が垂れて来る。 「は!破水だ!」 ナツはそう言って動き出す。 小百合は自分の手を握りしめ落ち着かない様子でじっとリコを見ている。 その頃、悠は院内には入らず結月に電話を掛けている。 リコはベッドに横になりながらナツの診察を受けている。 「子宮口が6センチ開いてる……! この調子だと…もう時期に産まれるな。」 ナツはそう言ってリコを見る。 「リコ!いいかい?少し早いが… 赤ちゃんもう出たがってる。 このまま出産に入るぞ?赤ちゃんも 頑張ってる!リコも頑張るぞ?いいな?」 リコは頷く。 その頃…結月はスタジオでカメラのレンズを覗き込み写真を撮っている。 後ろのテーブルで結月のスマホが震えている。 「ぁ、星川さん!スマホぶるってますよ?」 そうバイトの学生が言う。 結月は一旦、手を止めスマホへと行く。 結月は着信履歴を見て少しハッとする。 悠から何件も着信が入って居たのだ。 結月はすぐに掛け直す。 するとすぐに悠が電話に出た。 「もしもし結月?リコがリコが急に 倒れて今、通院先の助産院! このまま産むらしい!」 結月は顔色を変え慌てて帰る準備をし出す。 「星川さん?」 学生がそう言うと結月は焦りながら言う。 「悪い…産まれるみたい。」 「え?あれ?早くないっすか?」 「悪いな、水野くん…後頼んだ! 先方には必ず間に合わせるからって スケジュール変更してもらって!」 結月はそう言って走って行ってしまう。 「あ!ちょっと!星川さーん!」 学生はそう叫び立ち尽くす。
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