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そこへ小百合が真木とシャンパングラスを持って結月へとやって来る。
「結月?悪かったって…なんか私
場をぶち壊しちゃった?…んでしょ?」
小百合がそう言って呑気に言うと結月はしらーっと冷たい視線を送る。
小百合は屈する事なく笑っている。
「ねぇ…それで?この子の名前は?
何にしたの?」
小百合はそう言ってリコが抱いている赤ん坊の頬を突っつく。
「誰が教えるか!」
結月はそう言ってムキになる。
「へ?」
小百合は首を傾げる。
「みんなに一斉に大々的に
発表したかったんだよ!
俺とリコの子供だぞ?
初めて名乗る時はちゃんと
盛大に発表して…祝うつもり
だったのに…ったく…
台無しにしやがって~~!」
結月はそう言って熱くなる。
「あんた、男の癖に細かいのよ。
ねぇリコちゃん?」
リコは苦笑いしている。
「なぁ、親父!今のはおふくろが
100パー悪いよな?なぁ?」
真木も苦笑いする。
小百合はリコから赤ん坊を抱き上げる。
「うるちゃいパパでちゅね~~!」
そして…リコの耳に小さく言う。
「ほら、リコちゃんあっち行って
この子の名前、教えてね?」
小百合はそう言ってリコの背中を押し歩いて行こうとする。
「おい!聞こえてんだよ!
リコ!ぜーったい、教えんなよ?
いいなぁ?」
結月は叫ぶ。
リコは笑って結月を気にしながらも小百合と歩いて行く。
結月は後を追う。
小百合は笑って楽しそうだ。
そして…小百合は通りがかった千春に赤ん坊を託して逃げる。
「え?あ…」
千春は戸惑いながらも赤ん坊を抱き、すぐに目尻が下がる。
穂もにこにこしながら赤ん坊を覗き込む。
響は無表情で、じーっと赤ん坊を見つめている。
「小せーな…」
「当たり前でしょ。まだ
生後二週間も経ってないなんだから…
ねぇ~?」
千春はそう言って赤ん坊を見て笑う。
「可愛い!鼻なんか結月さんそっくりだ!」
穂はそう言って笑う。
響は赤ん坊をじーっと見つめて、次第に少し微笑む。
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