「 LOVE 」

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ー約、三年後…6月ー リコの好きなあのクレープ屋の前に 子供ながらもおしゃれに服を着こなした 一際目立つ幼い男の子が立っている。 そう、結月とリコの長男の晴一朗だ。 店主の男は晴一郎に気付き笑って窓から 顔を出してやる。 「僕、クレープなにがい? ぁ…言えるかな?」 店主がそう言うと晴一朗はまだ舌ったらずな言い方で言う。 「トコバナナナマクリームふたちゅ!」 男の子がそう言うと…店主は笑顔で頷く。 「僕…お名前は?」 「うちゃみ、ちぇいちろうだぁ!」 店主は良く聞き取れず苦笑いする。 すると後ろから結月がやって来る。 「こら…!です。だろ…?」 結月はそう言って笑い、晴一朗の頭をポンと撫でる。 結月は笑って店主に頭を下げる。 すると店主は結月を見てハッとする。 「あ…リコちゃんちの子だったのかい。 最近見なかったから…。 晴一朗くん、随分大きくなったね?」 「えぇ。来月には、3歳なんで…」 「そっかぁ。早いなぁ他所んちの子は…」 店主はそう言って笑い晴一朗を見る。 「あ…さっき、晴一朗くんクレープ 2つって言ってたけど…いいの?」 店主がそう言うと結月は笑う。 すると晴一朗が口を開く。 「リコはおなかんなかに あかんぼうがいるから ひとちゅでいいんだって。 だからおれさまと、リコの ふたちゅでいいんだよ。」 「こら、ママ…だろ。」 結月はそう言って苦笑いする。 店主は驚き笑顔になる。 「お、え?二人目…おめでたかい?」 「えぇ。まぁ…」 結月はそう言って嬉しそうに笑う。 そして…結月と晴一朗は並木道で待つリコへと歩いて行く。 結月は両手にクレープを持っている。 すると晴一朗はリコの姿が見え叫ぶ。 「リーコ~~!」 結月は笑う。 リコは晴一朗の声がして振り返る。 リコのお腹は膨らんでいる。 リコは笑顔で両手を広げる。 「晴一朗~~!」 晴一朗は笑顔でリコへと駆けて行く。 「ほら、転ぶなよ?」 結月は笑ってそう言う。 そして…リコは晴一朗を抱き止める。 「リコ!おれさまがちゅうもんいって ちゃんと、かってきたぞ。」 「お!ありがとう。じゃ食べよっか。」 晴一朗とリコはベンチに座る。 結月は晴一朗を抱き上げ座らせる。 「あ、クレープ屋のおっちゃん居たぞ。」 「元気そうだった?」 「あぁ…」 結月がそう言うと、リコは懐かしそうに微笑む。 そして…晴れ渡る青空の下、リコと晴一朗はクレープを頬張り始める。 結月はそんな二人を優しく笑って見つめている。
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