離別

14/19

7105人が本棚に入れています
本棚に追加
/387ページ
その頃、響はバンド仲間である穂(ミノル)とオーディションを終えたばかりで控え室に居た。 「なぁ響ちゃん結果はだめだったのに 話があるから残ってくださいって、 それってどういう事かな?」 穂がそう聞くと響は首を傾げている。 「さぁな~?」 「ったく響ちゃんは、こんな時でもクールなんだから。」 穂がそう言うとドアをノックする音がして穂と響はドアを見る。 「はい?」 穂がそう緊張した様に声を出すとドアが開かれる。 入って来たのは結月のマネージャーのあの千春だ。 「呼び止めたのに待たせちゃって ごめんなさいね?」 響と穂は半信半疑で千春を見つめている。 「面倒な前置き私嫌いだから 単刀直入に言うわね? 私あなたたちの曲と歌声 気に入ったの。 うちからデビューしない?」 千春がそう言うと響と穂は驚く。 「今回のオーディションとは 全く関係ない、たまたま 居合わせただけの私に そんな事言われても 戸惑うだけかもしれないけど… あなた達いいもの持ってるわよ? 私を信じて一緒にやってみない? うちの事務所はモデルや俳優ばかりで まだ代表する様なミュージシャンは 居ないんだけどね。どうかしら?」 千春のその熱烈なオファーに穂は笑顔が零れてしまう。 「響ちゃんどうする?」 穂がそう響に振ると響は千春をじっと見つめる。 千春はその鋭い媚びない様な響の瞳をこれだ!という様に見て少し笑う。 「あなたがリーダー?どうかしら?」 千春がそう言うと響は口を開く。 「俺達の何がいいと 思ってくれたんですか?」 「そうね…あなた達の曲は 純粋で暖かいんだけど… なぜかその中に色んな傷や闇も 見えて来て…不思議だった。 今まで感じた事ない感情を感じたの!」 千春がそう言うと響の表情は一瞬和らぐ。 「切なさと優しさと強さ みたいなものを感じたわ。 若者にも私達の世代からも きっと幅広く愛される 曲だと思ったの。」 千春がそう言うと穂は笑顔になる。 「1日だけ考えさてください。」 響がそう言うと実は首を傾げる。 「そうね。二人でよく 考えてくれてからでいいわ。 こっちは、いつまででも待つわ。」 千春はそう言って名刺をテーブルに置く。 「じゃぁいい返事待ってるわね。」 千春はそう言って部屋を出た。
/387ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7105人が本棚に入れています
本棚に追加