離別

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一人になった響はポケットから千春の名刺を取り出す。 そして少しの間それを見つめているが迷いを振り切ったかの様に名刺を握り潰した。 そしてゴミと一緒に名刺を捨ててしまう。 そこへ調度やって来た穂はドアの側からそれを見ていた。 「響ちゃん!」 「穂……」 響は足早に響へと行く。 「なんで捨てたんだよ?」 穂はそう言ってゴミを漁る。 「穂!俺はあの事務所だけは嫌なんだよ。」 「え?どうして?」 「この世で一番嫌いなやつが 居る事務所だからだよ。」 「この世で嫌いって…一体誰?」 「宇佐美結月だよ。」 穂は少し考え込む。 「あ…宇佐美って…茜ちゃんの? けどあの人もう芸能界 辞めたんじゃなかった?」 「そんなの知らねー。ただ俺は あいつの居た事務所で夢を 叶えたくないだけだ。」 「響ちゃん……」 穂は心配そうに響を見つめている。 「あいつのせいで、おじさんは…! 絶対許さない!あいつだけは!」 響はそう言ってダーンと壁を殴る。 その頃リコは駅へと急いでいて行き交う人に、ぶつかってしまう。 その拍子にバッグを落としてしまう。 「あ!」 リコは慌ててバッグを拾い散乱した中身を拾い改札口へと駆けて行く。 リコは手帳だけ拾い忘れてしまっている。
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