消えない想い

2/11
7104人が本棚に入れています
本棚に追加
/387ページ
リコは来た道をあちこち見て手帳を捜している。 あれ~? 確か、この辺で落としたはずなのに。 誰かに拾われちゃったかなぁ? リコがそんな事を考えて居ると背後から声を掛けられる。 「何してんの?あんた…」 リコはハッとして振り返る。 そこに立っていたのは響だった。 「あ!落とし物…しちゃって…」 「どんくせぇ。何落としたんだよ?」 「手帳…」 「手帳?らしくないな。」 「な!なんでよ?」 リコはそう少しむきになる。 「どんなやつ?」 響はそう言って探し始める。 「ぁ…いいよ。大丈夫だから。」 「いいよ。あんたあれだけ綺麗に 片付けてくれたし。 俺のせいで無くしたなんて 後で言われても困るし。」 「いや、言わないけどさ…」 「ほら、とっとと探すぞ。」 「ぁ…うん。」 リコはそう言って地面に視線を落として探し出す。 その頃、結月は神崎と電話で話をしながらリコが片付けたスタジオに居た。 「どうだ?ちゃんと片付けられてるか?」 「えー。綺麗ですよ。」 「響のやつ張り切ったな。」 「響?」 「あぁ。ガキの頃から俺になぜか、 なついて来て可愛いやつなんだよ。 茜の幼なじみでな。」 「へぇ~。神崎さん面倒見いいから。」 結月がそう言うと神崎は笑い声を漏らす。 「じゃぁそこで作業進めてくれ。 好きなように使っていいから。」 「はい。ありがとうございます。」 結月は電話を切り辺りを見回す。 そしてリコと響は近くのカフェに入った。 リコは見つかった手帳を嬉そうに見つめている。 それを見ていた響は口を開く。 「そんなに大事なもんなわけ?」 「まぁね。」 「もしかして日記とか付けてたりして? 柄じゃねぇ。」 響は笑い出す。 するとリコは膨れっ面になる。 「べつに日記とか書いてないし! それに書いてたっていいじゃん!」 「ハハハ!まぁいいんじゃね?」 響は笑っている。 なんなの?失礼なやつ!! リコは膨れながらストローを啜りアイスティーを飲む。
/387ページ

最初のコメントを投稿しよう!