序章 平和な日常

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 敬はパワーを調節して、5メートル程吹っ飛ばした。  無論、この5メートルと言う距離にも意味はある。  それは、光太の武器の射程距離にちょうど入る位置。  光太と大男との距離は約5メートル。  光太は、腰に掛けてある通常、警察が拳銃を入れておく黒いホルダーのような物から、拳銃のような物を取り出した。  それは、形状こそ警察が使っている拳銃に近いが、明らかに違った。  その銃口は広く、ハンドガンがスッキリとしたような形をしている。  単発式ワイヤー針スタンガン。俗に言う、テイザー銃と言うやつだ。  その銃口からは、針が発射され、その針とテイザー銃をつなぐワイヤーを使って電気を流すタイプのスタンガンだ。ワイヤーがある為、射程は決して長くは無いが、銃撃戦などにならない限りは、あまり関係無いだろう。  むしろ問題は、それが単発式であることだ。単発式は、1発射つたびに、カートリッジを交換しなければならない。つまり、近接戦闘時に使う場合、決して外してはならないと言う事になる。  だが静止している大男に5メートルの距離で針を当てられない光太ではない。  光太が引き金を引くと、反応する暇も無く大男の体がビクビク、と震え、倒れた。  こちらのスタンガンの電圧は25万ボルトだが、電流は人間を気絶させる位に設定させている。  大男は気を失った。  3人は安堵の顔を見せ、大男の元へ集まった。  そこで急にジリリリリ! と何か大きな音が一体に鳴り響いた。  その音は朝を告げる目覚まし時計のような音で、いや、目覚まし時計の音だった。 「あれ?」  光太は首をかしげ、夢の世界から現実世界へと引きずり戻されていく。 ☆  光太は鳴り響く目覚まし時計のアラームを止め目を覚ました。 「なんつー、リアルな夢だ……」  光太は呆れたように呟きながら体を起こし、未だに鳴り続けている目覚まし時計のアラームを止めた。  それからとりあえず立ち上がり、学校の制服に着替える。
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