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「え~、次は〇〇駅~、〇〇駅で~ごさいま~す」
寂れた電車内に、鼻声のアナウンスが鳴り響いた。だが、電車内にはほとんど誰もいない。
そう、ほとんど……
「んぁ?……〇〇駅?……やっと着いたなぁ~……」
たった一人だけ、その寂れた電車に乗っていた。だいたい16、7歳だろうか。
短く切られている茶色の髪に、服装は何故かジャージの少年。日野 松陰(ひの しょういん)。
それが彼の名前だ。
カバンは日野の右側に置かれていたが、降りる為に、背負った。〇〇駅に到着した電車から降り、改札を抜け、体をほぐす。
「ん~、疲れたな……でも……まだ町までは距離あんだよな……」
体をほぐし終わると、駅前から出ているバスに乗り換える。目的地は挿花村(そうかむら)。
都市からはそれなりに距離がある為に、あまり人はいないようだ。そんな村に、今回訪れる日野。
──先日亡くなった、お祖父さんの牧場を継ぐこと──
これが、日野の村に来た理由だ
「しっかしまぁ……遠いな……」
バスに乗って、既に1時間程たっていた。
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