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「後1時間くらいだよ」
さっきの声が聞かれていたらしく、バスの運転手が声を掛けてきた。
「へぇ~……後1時間ですか~……1時間!!?」
思わず、と言った声で返してしまった日野。フフフっと運転手は笑い声をあげ
「待てないなら、寝てていいよ?着いたら起こしてあげるよ」
優しい声をかけてくれた。
「あ……よろしくお願いします」
運転手に甘えることにした日野は、直ぐに寝てしまった。
──1時間後──
「…ら、……だよ……きゃく…ん」
「……ぅん、運転手さん?」
ぐっすり眠っていたようで、未だ寝ぼけているらしい。
「おはよう、少年。着いたよ」
起きた日野は、おぼつかない足でバスから降りる。
「じゃあな、少年!!!」
バスの運転手はさっさとバスを発車し、町に帰っていった。
「……おぉ!!綺麗な村だな……」
バスの運転手を見送った日野が見たのは、田舎特有の風景。山や川といった自然しかないが、都会育ちの日野にはとても綺麗に見えた。
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