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「…………」
コクリ
案の定、と言うべきか……。その少女は肯定した。
「……もしかして、記憶がないの?」
少女は、いきなり日野に詰め寄ってきた。
「多分な~……」
日野は軽い調子で返答し、
「改めて自己紹介していいか?」
少女に提案した。
「……うん……」
とりあえず自分からするのが常識だろうと、
「俺は」
「いいよ、わかってるから」
自己紹介しようとしたが、遮られた。
少し日野が泣きそうになったのは秘密だ。
「わたしは式亭 澪華、よろしくね?」
黒くて長い髪、服はブレザーの制服である。あと身長はだいたい160くらいだろうか。いや、もう少し低いか……
「いてっ」
「……今、わたしのこと小さいと思ったでしょ……」
可愛らしい顔を般若のそれに変えた澪華は、日野の足を思いきり踏んでいた。身長のことは地雷か……。
日野はそう考えたが、また足を踏まれそうなので、話題を変えることにした。
「式亭さん、よろしくね~。これ」
「さんは要らないよ?それに、澪華って読んで?」
話の腰折るなよ……。とは思ったが、言わないでおく日野。
「あ~、澪華さn……澪華。これからはこっちで暮らすからさ、よろしくね~」
さん付けしようとしたら睨まれた。一方で、後半の内容に反応して、かなりテンションが上がってしまった様子の澪華。
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