日常の崩壊

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ある日。 いつものように担任の教師が教室へやってきて、HRが始まるのかと思ったその時、担任の一言が放たれた。 「転校生紹介するぞー」 その一言に教室が一気にざわついた。もちろんルカの周りも大にぎわいである。 「ねえねえ、ルカ。転校生って男の子かしら?」 ルカの前の席に座っていたサーヤが振り返って言葉を投げ掛けてくる。 すぐ近くの窓を眺めていたルカは視線をやると首を傾げた。 「んー、どうだろうねー」 に、と笑って返すとサーヤが拗ねたような表情を見せる。 それに笑っていると、隣からも声が降ってくる。 「女はすぐにそれだよなー」 「男もそういう奴多いけどな」 アスカの笑い声にその前に座るナイトが突っ込み、一気に笑いが広がる。 「入れ」 担任の指示とともに扉が開き、教室が静まる。そして入ってきた生徒の姿に、思わずルカは目を奪われていた。 銀髪をなびかせた美形の青年の登場に、教室にいる女子がほう、と溜め息をついた。 「ヨルキ=テンです。よろしくお願いします」 一言言い、微笑んだ転校生にざわめきが戻り、騒がしくなる。 女子は色めきたち、男子も大いに騒いでいた。 「あー静かになー。ヨルキ、お前の席は一番後ろな、窓側の。ルカ、挙手!!」 「あ、はい!!」 教師の指示によりルカが慌てて手をあげると、転校生が歩き出す。 ふと後ろを覗き見れば、空の机がひとつ用意されていた。 「よろしく」 歩み寄ってきたヨルキに声をかけられると、ハッとルカは顔をあげた。 不思議な感覚を覚えながら頷き、笑みを浮かべた。 これがヨルキ=テンとの出会いであった。
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