3人が本棚に入れています
本棚に追加
ある日。
いつものように担任の教師が教室へやってきて、HRが始まるのかと思ったその時、担任の一言が放たれた。
「転校生紹介するぞー」
その一言に教室が一気にざわついた。もちろんルカの周りも大にぎわいである。
「ねえねえ、ルカ。転校生って男の子かしら?」
ルカの前の席に座っていたサーヤが振り返って言葉を投げ掛けてくる。
すぐ近くの窓を眺めていたルカは視線をやると首を傾げた。
「んー、どうだろうねー」
に、と笑って返すとサーヤが拗ねたような表情を見せる。
それに笑っていると、隣からも声が降ってくる。
「女はすぐにそれだよなー」
「男もそういう奴多いけどな」
アスカの笑い声にその前に座るナイトが突っ込み、一気に笑いが広がる。
「入れ」
担任の指示とともに扉が開き、教室が静まる。そして入ってきた生徒の姿に、思わずルカは目を奪われていた。
銀髪をなびかせた美形の青年の登場に、教室にいる女子がほう、と溜め息をついた。
「ヨルキ=テンです。よろしくお願いします」
一言言い、微笑んだ転校生にざわめきが戻り、騒がしくなる。
女子は色めきたち、男子も大いに騒いでいた。
「あー静かになー。ヨルキ、お前の席は一番後ろな、窓側の。ルカ、挙手!!」
「あ、はい!!」
教師の指示によりルカが慌てて手をあげると、転校生が歩き出す。
ふと後ろを覗き見れば、空の机がひとつ用意されていた。
「よろしく」
歩み寄ってきたヨルキに声をかけられると、ハッとルカは顔をあげた。
不思議な感覚を覚えながら頷き、笑みを浮かべた。
これがヨルキ=テンとの出会いであった。
最初のコメントを投稿しよう!