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ザシュッ──
振り上げられた刀が降り下ろされ、肉を斬る嫌な音が聞こえた。
目の前が紅く染まり、自分を包む温もりが遠退く──
刀が降り下ろされる直前、少年は少女を庇うためにその小さな身体を抱き締め、己の身体を男と少女の間に滑り込ませていた──
ついさっきまであった温もりが消え、動かなくなった兄の亡骸にしがみつき叫び続ける少女。
その光景を見下ろす男達は不気味なほどの笑みを浮かべていた。
そして、その中の一人が刀を振りかざし──
「直ぐに兄貴に逢わせてやるよ」
そう言いながら小さな少女に刀を降り下ろした──
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