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チュン… チュン…
ふっ──
「………夢……?」
外から聴こえる小鳥の囀りで目を覚ました少女は小さく呟いた。
「ヤな夢……」
たまに見る酷く悲しい夢は相手の顔すら朧気ではっきりせず、少女は朝から憂鬱だった。
少女はふと、自分の頬が濡れていることに気付き拭おうと手を動かしたところで、異変に気付いた。
少女の手首は縄でしっかりと結ばれていた──。
周りを見渡せば見知らぬ天井にいつもの宿屋の部屋の物とは違う机が目に留まった。
「何処、此処……?」
誰に問うでもなく自然に零れた疑問。
朝に弱い自分の寝起きの頭は全くと言っていいほど働かない。
暫く考え込んでみたが思い出す事が出来ず、考えることを諦め上半身を起こし何をするでもなくぼーっとしていた。
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