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そうこうしているうちに人型ははっきりと現れた。
女と男だ。
そうかと思えば、
―バチチッバチッ―
現れた二人の後ろで今度は四角い箱の様な物が、しかも幾つも出現する。
―チチチ…チチッチ……―
黒い箱が並び、
青白い光は消えた―――
『こんにちは』
女の方が、焦り一つ見せず挨拶と共に立ち上がった。
俺は何時でも抜刀出来るよう体勢を整える。
女は部屋と外の景色をぐるりと見渡し、次に俺と近藤さんをそれぞれじっと見つめ、何かを確認し終えたかのように元の位置に戻った。
どかっと胡座をかき、今度は例の箱の蓋を指一本で少しだけ持ち上げ全ての箱の中を順番に覗きこんでいく。
もう一人の男の方までもが女の行動を目で追っている。
女の動きがとまり、漸くこっちを向いた。
こちらに反応を促すように。
―「何者だ!」―
この台詞の他に、何が言えるというのだろう―――――
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