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「ナズナさぁん」
「なに」
薬の効果か穏やかな顔で眠りについた飯田を挟み、金谷とナズナは会話する。
「ここって新選組だよね?」
すぐ外に土方がいることを考慮してか、極抑えた声量だ。
「うん」
「いいの?“敗者側”だよ?」
「負ける方が悪とは限らない。テロリストを取り締まるのは正義」
「確かに。歴史変えちゃったりするの?」
「……変える変えないの考え自体がおこがましいと思う。けど、…正しいと思えばやる、かも」
「ふふっ、ナズナさんの事だから、ついついやっちゃうんだろうね」
「この時代に無い筈の薬とか、ピストルとか、荷造りもしてないのにここにある。人為的としか思えない。歴史が変わっても少なくともそいつには咎められる筋合いは無い」
「んー、確かに。ははっ、でも楽しみだなぁ。龍馬とか逢っちゃったりして!」
「私は竜也の頭が心配。もう寝な。行くよ」
―――始まりか終わりか、何が正しいか正しくないか。そんなものは誰にもわからない。誰にも、だ――――――
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