居待月

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「食べ物でも趣味でも色でも構いません。何が好きですか? 」  多分、ナズナさんは私に何か贈ろうと思っているのだろう。 もしそうならとても嬉しいのだが、ここで趣味が読書などと言ってしまえば、書物を買ってきてしまいかねない。 本ではあまりにも高価すぎる。 「そうですね…、椿、ですかね…」 なんとなく頭に浮かんだ花の名を言ってみた。 言ってみたが、しまった、と。 椿の花を採って来ようにも、季節外れだし、あったとしても道端に咲くような花でもない。 よく見るのは屋敷内に観賞用として植えられることの多い木だ。 だが、私の余計な思い過ごしだったのか、 「わかりました。では行ってきます」 「行って参ります」 と、ナズナさんと松原さんはあっさりと行ってしまった。
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