いくらでもいい、貸してくれねぇか

2/6
952人が本棚に入れています
本棚に追加
/475ページ
永倉が自分の席に着き、目の前の御膳を早く食べたいの如く見詰めていると、視界の端に先程挨拶を交わした土方が、三つの御膳を重ね、それを持って広間を出ようとしているのが見える。 「土方副長。こちらで食べられないんですか?」 永倉は土方の足を止める。 「あ…客、が来てるんでな、そっちで食べる」 「そうですか。俺が運びましょうか?」 「いやっ…いや、大丈夫だ。…では」 (なに慌ててるんだ?) 永倉はそそくさと出て行く土方の背中を暫く見ていた。 (お偉い人でも来てるのか?) .
/475ページ

最初のコメントを投稿しよう!