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永倉が自分の席に着き、目の前の御膳を早く食べたいの如く見詰めていると、視界の端に先程挨拶を交わした土方が、三つの御膳を重ね、それを持って広間を出ようとしているのが見える。
「土方副長。こちらで食べられないんですか?」
永倉は土方の足を止める。
「あ…客、が来てるんでな、そっちで食べる」
「そうですか。俺が運びましょうか?」
「いやっ…いや、大丈夫だ。…では」
(なに慌ててるんだ?)
永倉はそそくさと出て行く土方の背中を暫く見ていた。
(お偉い人でも来てるのか?)
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