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暑い。暑過ぎる。
「ばっちこーい!」
バッターボックスで美沙が元気に声をあげている。ただでさえ暑いのに、美沙の周囲は余計に温度が高い気がする。比喩抜きで。
「うりゃぁ!!」
カキーン。
力強い掛け声と共に高く打ち上げられた打球は燃え上がり、炭になって消えた。
「おぉ・・・よく燃えたなぁ」
燃えかすとなったボールを遠く眺め、美沙は感慨深げに呟く。
いやいや・・・
「燃やすなよ!!」
「え、駄目なの?」
「駄目だよ!!ほら見ろ相手チームの方々口開けたまま固まってるじゃねぇか!!」
「いや、ルールブックには燃やしちゃ駄目とは書いてないし・・・」
「普通の人は何もない場所から火を出せないからな!!」
「そんな褒めるなよ~。照れるなぁ、もう」
「褒めてないからね!?」
「でも、この場合判定はどうなるんでしょう?」
優子さんが首を傾げて疑問を口にする。確かに彼女の言う通りだ。打った打球が燃えて無くなってしまったので判定のつけようが無いのでは・・・
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