ある日のシロ先生

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普段と変わらない仕事部屋の午後。 夕陽に染まるにはまだ早く、柔らかい白い光に包まれる――。 違うのは、作業が一段落し、リセットされたデスクの上には、何も無い事。 誰もいない部屋で、デスクに足を放り出す。 行儀悪いよなぁ、と思うほんの少しの背徳感より、心の窮屈さを取る開放感を選んだ。 何かに凭れ掛りたい気持ちを、上手く解消してくれる体勢だと思う。 ――ほら、椅子に座るじゃなく、凭れ掛るに変わるじゃん。 「……俺って不器用だな」 お気に入りのチョコレートを取り出した。 チョコレートだけは拘りがある。 いっぱい食べたい時は、ここの板チョコ。 体も心も疲れてる時は、このカフェのチョコレート。 自分を甘やかす時は、このお店の一粒のチョコレート。               .
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