ある日のシロ先生

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――あぁ、まただ。普通は、心も体も、だ。なんで心が後回しなんだ……? チョコレートを前に、自然と頬が緩む。 何人の人が、この表情を知っているだろう。 普段からは想像も出来ないほど、今の俺はとても柔らかい表情をしていると思う。 そう、甘やかしてあげる時間。 昔から薄々気づいてはいたが、俺はどうも甘えるのが苦手らしい。 幸せに少しばかり拒絶反応が出る。 それは仕事柄か、性格からか、今までの生きてきた道のせいか。 どれにしたって逃げてるだけだ。 そんな事も、痛いほど分かってる。 それでも、本当に好きな人には幸せになって欲しくて、突き放してしまう癖がある。 此処はお前の居場所じゃないんだよ、と送り出してばかりだ。 ――俺は、馬鹿だ。
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