悪循環

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「坂井」 後ろから投げかけられたその声。 ああ捕まってしまったかと、真はゆっくり振り返る。 「昨日電話かけたら、途中で切れたんだけど。 つーかそれから全然繋がらなくなったんだけど」 「もしかしたらトンネルに落としてきたんでしょうかね」 バレバレの嘘をつくのは、どうでもいい相手の時。 「まったく、相変わらずだな。 まあいいや、来いよ」 「守口先輩、」 さっと捕まれた腕を引きながら、立ち止まる。 「なんだか今日、かなり調子悪いんですよね」 だから触るな、帰らせろ、目で言ってみる。 守口は少し鼻で笑うと、有無を言わせない力で真を引っ張ってく。 力じゃこいつには勝てないともうわかっているから、抵抗する代わりに真は大きく息を吐いた。
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