*いち

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  「…ちひろ、顔怖い。」 ぶにっ しかめ面をしてたらしい俺の頬に刺さる指。 「おうふ!…だって俺ゆっとんと話してたのにー。」 途中で入った上に、あんだけってありなの?いや、なしだよ。 「お前本当、女と話せないのな。」 「…苦手だから仕方ないじゃん。何言っていいか分かんないし、女って、男には良い顔するから怖いし。俺に近づく女は大抵明仁狙いなんだ!」 「…最後がメインだろ。いつも明仁、明仁って。自分のことも気づけよ?女が可哀想。」 「…?どゆこと?」 「…俺はちひろのそんな所が良いと思ってるよ。」 「え、あ…ありがと!」 よくわかんなかったけど、ゆっとんに褒められるとか激レア! やっぱ嫌なことあれば、いいことがあるんだなっ 「うん。馬鹿っぽくて、可愛いわ。」 「…前言撤回だわ…」 やっぱりゆっとんから褒められるなんて激レアでした。甘くありませんでした。 「何、褒めてんじゃん。」 「ゆっとん、褒め言葉間違ってるよ!」 「ちひろは馬鹿って言われんのが嬉しいだろ?」 「やめて!俺を勝手にMキャラにすんの!」 「クスッ、はいはい。」 「もー。」 分かってるのか分かってないのか、いつもゆっとんの返事は曖昧だ。 けど、何だかんだで優しくて頼りになる。 やっぱり同じクラスでよかった。 なんて再確認したところで先生がやってきて、俺たちは始業式へと向かった。  
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