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「…ちひろ、顔怖い。」
ぶにっ
しかめ面をしてたらしい俺の頬に刺さる指。
「おうふ!…だって俺ゆっとんと話してたのにー。」
途中で入った上に、あんだけってありなの?いや、なしだよ。
「お前本当、女と話せないのな。」
「…苦手だから仕方ないじゃん。何言っていいか分かんないし、女って、男には良い顔するから怖いし。俺に近づく女は大抵明仁狙いなんだ!」
「…最後がメインだろ。いつも明仁、明仁って。自分のことも気づけよ?女が可哀想。」
「…?どゆこと?」
「…俺はちひろのそんな所が良いと思ってるよ。」
「え、あ…ありがと!」
よくわかんなかったけど、ゆっとんに褒められるとか激レア!
やっぱ嫌なことあれば、いいことがあるんだなっ
「うん。馬鹿っぽくて、可愛いわ。」
「…前言撤回だわ…」
やっぱりゆっとんから褒められるなんて激レアでした。甘くありませんでした。
「何、褒めてんじゃん。」
「ゆっとん、褒め言葉間違ってるよ!」
「ちひろは馬鹿って言われんのが嬉しいだろ?」
「やめて!俺を勝手にMキャラにすんの!」
「クスッ、はいはい。」
「もー。」
分かってるのか分かってないのか、いつもゆっとんの返事は曖昧だ。
けど、何だかんだで優しくて頼りになる。
やっぱり同じクラスでよかった。
なんて再確認したところで先生がやってきて、俺たちは始業式へと向かった。
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