*いち

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  「ちー、頼んだ!」 「…えー。」 彼の後ろに着いて行き、結果、明仁の家の前に来た。 そこにきて、すぐに察する呼ばれた理由。 「…こんくらい何とかしろよ。」 「無理。早く。」 「はぁー。仕方ないなぁ。」 彼が指差す先、ドアノブにとまるカメムシ。 …こいつの虫嫌いはどうにかならないのか。 俺は玄関横にあった小さな箒を拝借して、そいつをちょいっと掃いた。 ぶーん、とどこかに飛んでいったカメムシくん。 もうこんな場所にとまんじゃねぇぞ。 「あー、気色わりぃ…。」 「お前は女子か。じゃあもう俺戻るからね。」 本当、毎回馬鹿らしいことだ。 この前は蜘蛛を追い払ったっけ? なんて考えながら、Uターンする俺の肩が掴まれる。 「ちー、待って?」 「…どした?」 申し訳なさそうな可愛い顔をする明仁。 そんな顔されたらときめいちゃうんだけど。 「玄関も開けて?」 「………」 くそう。こんな奴大嫌いだ。    
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