*いち

16/17
前へ
/27ページ
次へ
  ーーーーーーーーー ーーーーー 「ごめん、茶しかなかった。」 「あー、いいよ。さんきゅー。」 「ん、どーぞ。」 そう言ってお茶を受けとる。 結局お邪魔することになった明仁の部屋で。 まぁ、もう10年間見てきた部屋だし別に特別感はなく。 とはいえ、3年ほど前からは違う意味で緊張してる。 そりゃまぁ、俺も立派なオトコノコですから。 例えば、ほら。こう隣でお茶を飲んでる明仁の口元を見ちゃうのは、 …仕方ないよな? いや、どうなんだろ? 「…どうかした?見すぎなんだけど。」 そう言われてハッとする。 「あ、や、何でもない。」 「何だよ。そんな俺、浦和さんに似てる?」 またもやなにか勘違いする明仁。 「…明仁が浦和さんに似てるんじゃなくて、」 浦和さんが明仁に似てるんだよ。 言いかけて止まる。 これはさすがに言えないよな…? 「何。」 「いや!そんなに、似てないかな!ってね!」 自分の誤魔化しの下手さに涙目。 明仁の視線も痛い。が、 「そーですか。」 と、すんなりと引いてくれた。  
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加