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鏡を見ると、ちゃんと髪も綺麗にセットされた俺。
久々にカッターシャツもアイロンかけたし。
衝動買いしちゃった時計もいい感じだし。
「うし、いってきまっす!」
洗面所を出て、リビングの方にそう声をかけて鞄を持つ。
今日は、俺、遊佐ちひろの記念すべき高校二年生初日。
「はいはい、いってらっしゃーい!」
そんな母さんの返事を背中に、少しうきうき気分で家を出た。
家を出てすぐに、門のところに居るあいつに気付く。
「何、明仁起きてたのか!」
壁に寄りかかっている彼に声をかけると、面倒くさそうに俺の方を見た。
「初日くらい、誰でも来るだろ。」
引きこもりじゃねぇんだから。
そう言う彼、相良明仁は、入学式に遅刻しかけた男である。
「…ま、行きますか!」
あまり深く突っ込むのは止めて、そう声をかける。
「…ん。」
ふぁ、と大きく欠伸をしながら歩き出す明仁。
俺はその横に並んで歩く。
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