*いち

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  ――――――――― ――――― 鏡を見ると、ちゃんと髪も綺麗にセットされた俺。 久々にカッターシャツもアイロンかけたし。 衝動買いしちゃった時計もいい感じだし。 「うし、いってきまっす!」 洗面所を出て、リビングの方にそう声をかけて鞄を持つ。 今日は、俺、遊佐ちひろの記念すべき高校二年生初日。 「はいはい、いってらっしゃーい!」 そんな母さんの返事を背中に、少しうきうき気分で家を出た。 家を出てすぐに、門のところに居るあいつに気付く。 「何、明仁起きてたのか!」 壁に寄りかかっている彼に声をかけると、面倒くさそうに俺の方を見た。 「初日くらい、誰でも来るだろ。」 引きこもりじゃねぇんだから。 そう言う彼、相良明仁は、入学式に遅刻しかけた男である。 「…ま、行きますか!」 あまり深く突っ込むのは止めて、そう声をかける。 「…ん。」 ふぁ、と大きく欠伸をしながら歩き出す明仁。 俺はその横に並んで歩く。  
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